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Column

最後の挨拶

 2021年最後の「慎慮と洞察」になる。ともかく今年も欠けることもなく本考を書き続けられた。もう何年書き続けているのだろうか?リストを見ると2010年11月8日というのが見つけたが、どうもそのあたりの年である。11年は書き続けたということになる。月4話として年間48話、月曜が5回ある月もあるので50話としたら、500話を超える。そして、一話だいたいA4,3枚の原稿量であるので1500枚、一枚が何文字くらいなのかというと400×3.5枚なので1400字であり、それに1500をかけると2,100,000字になる。
 新約聖書は何万字なのかをネットで調べるといろいろあったが100万~200万字というアバウトなものから1,800,274字という厳密なものまで、あるがいずれにしても、聖書の量と同じ量だけ書きつけたわけである。
 内容はともあれ、量では聖書並みになったのだ。しかし、そんな量の比較もたいしたことではない。身近な作家の司馬さんや松本清張さんはその十倍以上の文字を書いているだろう。たとえば「坂の上の雲」は?作家の全集モノをみても畏れ入る量だろう。
たかだか11年だ、先の御両人は少なくとも50年以上書いているだろう。量だけではなく、遥かに質の高い内容のものを!!
「最後の挨拶」といって本考が終わるという意味ではない。1914年の第一次世界大戦の始る時に書かれたシャーロック・ホームズの物語にあやかって借用したタイトルそんな深い意味はない。ただ、近々本考が記載されているHPが来年早々刷新予定なので、現在のHPの最後の年になるという意味で最後の挨拶というくらいの意味でしかない。

 先日、わが家に保険のセールスマンが来た。家内の保険の生存確認というような目的から来たのだが、その際に新しい保険商品の説明があった。その名は「認知症ケア」大変、失礼と思われますがと言ってから、その保険商品の説明に入った。その商品は認知症になった際の保険商品かと思ったがそうではなく、認知症にならないための商品で契約をしたら契約期間内は注意深く被保険者(つまり私を)監視?して何らかの兆候があったら手当てをするという保険らしい。セールスマン曰く、認知症というのは一度、なってしまったらもう完治は無理ということらしく。その保険の面白いところは認知症になってしまったら保険会社から解約をいいわたされるという。
 そのあたりがユニークで、これまでの医療保険では病気になったら手厚くフォローするのが保険かと思ったが・・・?こういうのを逆転の発想というのだろうが?話を聞くうちに分かってきたことはどうもこの保険商品は全くの新商品でまだ実績が皆無らしく、そのあたりの具体的な話やどのような人が契約をしたのか?そして、現在、どのようなメリットを享受しているのかなどの話はまったく皆無で、どうもテストケースで話を持ってきたようであった。
 そこで少し有意義な話をしてやろうと思い。これまでなかったユニークな商品にしてはマーケティングがなっていないとまず言った。そして、ポイントはネーミングですよと。
まず、この商品をはじめての人にどう説明するのですか?あなたは認知症になりそうだから勧めることになるが?と訊いたら。セールスマン、少し躊躇した後に
“いや、実は私の父に最初に売り込んだら、すぐに電話を切られました”と苦笑いしながらいったから、こちらは苦笑いではなく大笑いであった。そして
“私がネーミングを悪いと言った理由は、この「認知症ケア」という商品名が商標登録できないのではないかということです。というのはこの商品は初めての保険商品でしょう?
それを初めて市場に、社会に上市するのですよね?ということは先行者利益を得られることが最大のメリットなのです。というのはこの商品のネーミングはそのままこの商品のカテゴリーネームになる可能性があるのですよ。現在の商品名はそのまま一般名詞になる可能性があります。たとえば昔はコピーすることを“ゼロックスしてきて”とお願いしたものです。これはその分野の先行者が得られる最大のメリットなのです。ということはそれを購入する人は前提としてゼロックスを購入するということで話が進むのです“
彼は驚いたようにその話を聞いて
“そのあたり、ウチは弱いのですよ。この商品も多分、2年くらいしたらうちの商品をみてお金のあるニッセイさん(日本生命)が多大な広告費を投入して、業界ナンバーワンになってしまうのですよ”
“でもね、私の言ったいわゆるブランド戦略はちょっとやさっとで追従者が逆転できるような話になりませんよ”
 そのあとで彼は是非名刺をと言ったので今度は私が営業をしたというところでオチがついたのだが今年最後のビジネストークになった感じである。

 本考は12月27日アップされる予定なので「最後の挨拶」になったのだが来年も元気でこのような話を書きつけて認知症予防の足しにでもしようと思っています。ご購読を感謝いたします。よいお年をお迎えください。

                                  泉 利治
2021年12月27日

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