Amazonのプレミアム会員になっているので毎日30分くらい映画を見て寝るのが習慣化している。それで見た後に必ず感想を書いて投稿している。これは感受性を維持するためと自分の感じたことを客観的に文章にすることで漠然と思ったことを確実な自分の考えに昇格させることを狙っている。
見終わってすぐに思ったことを書くがネガティブことは書かない。ネガティブなことを書きたいような映画は途中で見ないからである。
今、丁度「三人の妻への手紙」というアメリカ映画を見終わって、評論を書き終わった。
アマゾンからは過去観た映画の投稿もお願いします。といわれるが、歳を取ると昔見た映画は忘れてしまうので、書きたいものがあったとしたらもう一度見ることになるのだろう。あるとしたら今のところ「絶壁の彼方へ」くらいか?
私は物心ついた頃すでに映画をよく見ていた。母が映画好きで日本映画から洋画までを山形の映画館でよく見に連れて行ってくれた。当時は映画+ニュース+短編漫画映画+予告編の組み合わせで、母中心の映画では短編漫画映画が唯一の楽しみであった。だから、ディズニーのそれはよく見た。その延長で長編の白雪姫やバンビなどは山形の映画館で見た記憶がある。このおかげで私の年代では珍しいかもしれないがディズニーお宅であり、この経験が後の仕事にかなり役に立った。
私は意識してはいなかったが遊園地の施設や車両のデザイナーとして10年以上働く機会を得たからであった。また、その仕事のおかげでかなり早い時期にアメリカのディズニーランドやディズニーワールドにも視察に行くことができた。これもせんじ詰めれば映画の余禄のような気がしている。ただ、意外と私の年代やそれ以上のクリエティブな世界の先輩たちが映画好きな人が多かったことを後で知った。
私がPAOSに入って何年かして社長の中西さんが何かの折に自分は映画オタクであったようなことを話してくれて、ああ、やっぱりそうなのだと思ったことがあった。それは彼の発想やアイディアや考えに必ずビジュアルがともなっているということで、明確な世界観を描いているからであった。ゆえにアイディアや考えが最初から目に見えていたということなのである。中西さんはコーポレートアイデンティティーの日本の先駆者であり、ある面では世界をリードしていた人であったがその理由はCIのアイディアがビジュアルな世界を伴って広がっている人だからなのではないかと思ったものであった。CI(コーポレートアイデンティティー)の仕事とはその企業の理想的な企業像を描くという仕事で、まさに映画監督のようにその企業の新しい物語を描く仕事なのであった。
つまり、新しい企業の名前、マーク、本社ビル、社内の設備、生き生きと働いている一人一人の社員の姿・・・そのような未来の姿を描いて、一人一人の生活者からも、社会からも、求められる企業像を実現しているというのが中西さんのめざしたCIであったのだ。
考えてみればCIとはクライアント企業の理想的な企業像を描いて提案することなのであり、いわば現実可能性の高い企業SF映画を作るような仕事であったのかもしれない。
AMAZONプレミアムは映画の世界を俯瞰できる点で最適な勉強の場でもある気がしている。大体見ることができる映画は私の生まれた1946年の頃から現在まで80年間の映画をいつでも見ることができるのである。そして、優れた映画は古さを感じさせない。その俳優が今の衣服に着替えたら現在の映画になるような映画ばかりである。
ただ、大きな違いは初期の映画は芝居のようなシーン展開をすることが多いがそれはそれで映画という手法を使って舞台で行われる物語を映しているということなので意味がかえってずれることがなくわかりやすいということになる。ただ、現代の監督や演出家の独りよがりな表現に比べると意味をきちんと視聴者に届けるという真摯さは好感が持てるというモノである。
前回「四人の復讐」という映画を見た。観た理由は名匠のジョン・フォードの作品ということから見たのだが。最初の入りは良かったのだが途中の展開がシリアスな内容にしてはドタバタ喜劇の笑いを誘うような演出で全体のトーンがちぐはぐに感じて頂けなかったが、これほどの名匠でも初期はこんな映画を撮っていたのだという、いい教訓であった。そんなことから気を取り直して今夜はやはり、ジョン・フォードの最高傑作という呼び声が高い「荒野の決闘」を観ている。これは期待できそうである。
24年3月4日