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Column

Woman in White

 明けましておめでとうございます。
と、いいながらあまりおめでたくない話で始めなければならないのが少し残念です。
本考の多くは短くて1週間ぐらい前に、長くて一月前に書くことが通常です。
したがい、今回の分は12月19日の朝に書いていますのでどうしてもその点で少し古い話題になってしまいます。
今日は何かと驚くべきニュースが我が家を襲った感がありまず。ここからは翌20日に書いている。最初の驚くべきニュースは神田沙也加ちゃんの死のニュースです。転落死である。本来、芸能人の突然死などは興味本位の域は出ないのだがこの素晴らしい若いエンターテナーは何かとその生まれた時から私の家族にとって少々不思議な存在であった。

 Woman in Whiteとはウィルキー・コリンズのベストセラー小説(但し1859年イギリスにおいて)で日本語では「白衣の女」として岩波文庫で読むことができる。そして、その本は信じられないくらい面白い。一般的に翻訳本の古典に入る部類の本でいくらベストセラ―といっても日本の読者を魅了する本など滅多に出会うことはない。しかしこれは別格である。別格といわれる所以はまず、岩波文庫の古典であるのに信じれれないくらい面白いからだ。いわゆる、岩波文庫とは古典文学や古典学術書といわれる分野を扱っているので他の文庫本とは少し違う一種の研究書に近い存在なので私の中ではあくまで資料的な位置づけになっていた。
 通勤していた頃(2007年)、横須賀線の電車のつり広告でWoman in whiteのミュージカルのことを知った。そこには多分「ウーマン・イン・ホワイト」とカタカナで記載されていた。その時は、おやっ!と思った。あの白衣の女のミュージカルなんて面白い企画だと思ったがそれは劇団四季の出し物ではなかった、としたらどうみても売れない気がした。なぜならば商売気が多い彼らが飛びつきそうなテーマではないからだ。
 しかし、それはれっきとしたロンドン発のアンドリュー・ロイド・ウェイバーが手がけたミュージカルで、その発想はかれならではのもので「オペラ座の怪人」と同じ構造で発案されたものであるからだ。ミュージカルはおつきあい程度に家内と行くくらいで自分から見たいとは思わないがこの時は違った。家に帰り、家内にミュージカルを見に行かないかと誘った。家内はあまり話題になっていないそんなミュージカルに興味を示さなかったが、そんなに行きたいのなら付き合ってもイイという態度であった。
 私たちは渋谷の青山劇場に出かけた。出演者は笹本玲奈や別所哲也など日本の代表的ミュージカル俳優が演じていたがその中に神田沙也加がいた。そして私はその歌唱力に舌を巻いた。想像の域をはるかに超えていたのだ。帰り際にアンケートを渡されたが、そのコメントに沙也加ちゃんの歌唱力が素晴らしいとだけ書いた。
 彼女は偶然にも私の娘と同年同日に生まれることを告げられた子であった。しかし、私の娘は早産、沙也加ちゃんは晩産で誕生日は違ったが何かと彼女にはそんな意味からも気になる存在であった。
その他、今年の干支は寅年(それも36年に一度の五黄の寅)であるが、娘も沙也加ちゃんも五黄の寅であり、母親の松田聖子も家内も寅年であった。これも偶然な取り合わせだ。
そして彼女の両親の松田聖子と神田正輝が結婚式を挙げた後の目黒通りのパレードを家内は目黒の自宅前から眺めていたそうである。かれらはサレジオ教会で式を挙げたのだ。
芸能界などには興味がないので私が神田正輝を知ったのも変な場所であった。青山のフロムファーストにあるレストランのドレッシングルームの鏡の前で手を洗った私は、隣にエラクイイ男がいるなと思ったがだれだかわからなかった。席に戻りその時一緒だった従妹に聞くと神田正輝だよ!と教えられたのだ。
 
 娘と沙也加ちゃんは我が家では何かと勝手にライバルであった。亡くなったおばあちゃんは話題の沙也加ちゃんがテレビで写出されると“ウチのリリコの方が可愛い!”と必ず言ったものである。それが成人になって、娘は友達から沙也加ちゃんに似ているし歌う際の声も似ていると言われたそうである。
彼女もその勝手にライバルである神田沙也加の死、それも自殺?と言われていたその死にはショックを受けたようで朝一番で母親にラインが入った。彼女はマイ・フェア・レディの主役を演じるための北海道公演での突然死だつた。ミュージカルスターとして絶頂にいたはずの彼女に何があったのか分からない。死に急ぐ理由は分からないがわが家は何かと勝手に双子の姉妹の片方を失った気持ちでショックを受けている。
 余談になるがその日に母親である私の家内が心臓発作で明日からの3泊の旅行を中止せざるをえないというとんでもないオマケがその12時間後に起きて、なんとも不思議な一日であった。
 今年は36年に一度の五黄寅年、寅年という点で双方の娘と母親は同じ星回り、この四人は寅年という点で奇遇である。残された3人の寅年の女性に幸せが訪れるようにそして天国の彼女にも・・・何ともいえない2022新年の「慎慮と洞察」で始まった!
                                    泉 利治
2022年1月3日
 

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