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Column

逃亡者

 「fugitive」というのが原題である。こんな高度な英語を知っているのは昔、土曜日の夜8時から一時間の連続テレビドラマが放映されていたからだ。こんなナレーションが次に流れる“リチャード・ギンブル、職業、医師。彼は身に覚えのない妻殺しの容疑者として追われる身になった・・・”ギンブルはそうやってアメリカ全土を逃げ回り、妻を殺した片腕の男を捜す。ドラマはギンブルが逃げ回った街での様々な体験を毎週放映するのだが、日本でももちろん本国のアメリカでも人気ドラマとなった。主役のデビット・ジャンセンはこれで一躍、大スターの仲間入りをしたというロングセラードラマであった。
 高校生であった私はこれらのアメリカのドラマを見て遠い異国を夢見たもので、そういえば似たようなドラマで「ルート66」というのもあった。これはコルベットスティングレーに乗った二人の青年がアメリカ中を旅するドラマであった。
 わたしの年代はアメリカという国を夢の国としてとらえていた気がしている。だって、若い青年が自動車で国中を旅することができる国なんだぜ!ということでこんなことが自分の若い時代に実現できるだろうかと思ったくらいであった。
まず、自分の自動車を持つ!なんてことは夢のまた夢のような時代であった。しかし、私は27歳でそれを実現したが(ただし、友人の車で)。その時は日本も自動車で旅ができるのだと思ったものであった。その時は北に行ったが、新婚旅行では南に出かけた。自動車の旅は何よりも楽しいのはもしかすると青春の楽しい夢をも再現してくれるからなのかもしれない。そう言えばハワイに何日か滞在した際にはいつも自動車を借り切ってオアフ島の中を走り回ったものであった。その中でルート66の様な標識を高速道路上で見かけたものであった。

 しかし、アメリカ中を車で旅をするということはかなりの冒険の様な気がする。その後、同じアメリカ内を新型車の移送を職業とする男の映画があった。その映画はマニアックな自動車好きには特別な映画になった「バニンシングポイント」。自動車はダッジチャレンジャー。その映画をみてアメリカの車に対する認識が変わった気がした。多分、あの車はアメリカ車のイメージをポジティブに印象付けたのではないか。
 それでなくとも増速装置が付いたダッジチャレンジャーは警察から追われても絶対に捕まらなかった。マニアのジャガーEタイプとカーチェースをやっても問題にもしない。それまでアストンマーティンDB5がベストカーだった私だがダッジチャレンジャーの方に魅力を感じるようになった。
 ダッジチャレンジャー、シボレーカマロ、フォードムスタングなどは自動車王国のアメリカが生んだスポーツカーだ。スタイリングも素晴らしいがあのエンジン音が最大の魅力である。ドスのきいたあのサウンドは暴走族もよけるかもしれない。それに比べるとヨーロッパのスポーツカーはどうこう言っても上品だ。その車でアメリカ大陸を走るには少々不安な気がしないではない。線が細すぎるのだ。しかし、日本にはヨーロッパの車の方がマッチする?ダッジチャレンジャーのボディサイスを見ると
全長5,021mm          →4525mm
全幅1,922mm →1875mm
全高1,450mm →1425mm
ホイールベース2,946mm →2760mm
排気量6400CC          →2996CC
ちなみに後の→の数値は私のBMW330X数値である。一回り小さい感じか?ちなみにエンジンは半分くらいである。燃費は少しだけ私の方がいいくらいで、日本国内を走るのにはアメリカにおけるチャレンジャーと日本における330Xiは同じくらいのパフォーマンス?の様な気がする。

 しかし、車で旅するのは楽しそうなので、最後は故郷の山形に入ってみる気だ。しかしかみさんはどうも高齢ドライバーの車には乗りたくないようでせいぜいフジスーパーくらいがいいところのようだ。したがって、この調子では逃亡者にでもならない限り長距離ドライブは無理のような気がしないではない。
                                2024年2月12日
 
 

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