ブランドワークス

Column

慎慮と洞察のランキングかな?

 本考は「慎慮と洞察」というタイトルで世界の誰もが無料で読むことができる。無料と断っているところがミソである。なぜならば私の書いたもののいくつかがKindleで有料でないと読めないようになっているからだ。Kindleのものは全部小説でそれなりにコストをかけたものばかりで理由はコストの回収というニュアンスが多分にある。
 では無料の「慎慮と洞察」はコストがかかっていないのかというとそうでもないが、それをサンクコストと考えて、そのコストを有意義なものにしようと考えたのが慎慮と洞察の狙いである。したがって、慎慮と洞察は当初の目的の通り、薄れゆく私の記憶を書き留めたものである。その他、文章の練習のためとか、実際の仕事の裏話とかいろいろあった気がしている。それとデザイン、マーケティング、ブランド関連の分野のエッセイがあまりないのでそのあたりの生の考えを書きたいと思ったのである。
 しかしリタイアを機にどちらかというと個人的なエッセイになったきらいがある。また、いたって主観的なものになり、客観性を欠いている気がしている。こうなると読者がいようがいまいと構わずに書きたいことを書くという居直りが支配していると言っていい。

 そんなことからこの「慎慮と洞察」を検索してみると面白い事実を発見した。「慎慮と洞察」で検索して何が出てくるのかを調べたのである。これは何を意味するのかというと8年分の検討テーマのランキングという一面を持っているのではないかと思われる。調べてみるとここには現在389のテーマがある。司馬遼太郎さんの「この国のかたち」を量的には凌駕したエッセイと言えるだろう。テーマごとにランキングを取り上げると

1位サイレントマジョリティ・・・・・・・・17年3月6日
2位ビジネスモデル・・・・・・・・・・・・18年2月19日
3位確固としたブランド戦略・・・・・・・・12年11月19日
4位事件・・・・・・・・・・・・・・・・・14年9月29日
5位ブランドビジネスの誕生・・・・・・・・10年8月9日
6位バーバリーのブランドポジショニング・・10年6月21日

これをランキングとすれば何を意味するのだろうかと考えた、基本的には4位の「事件」以外はマーケティングやブランディング関連である。したがって、その関連の人たちが読んでくれているのだろうと思われる。特にブランド関連が3つあるので、ブランドワークス研究所のサイトを訪れた人がこのコラムを開いたと考えられる。それとこれらのいずれもタイトルが明確に内容を示していることもその理由の一つに違いない。
 その中で興味深いのが4位にランキングされた「事件」である。これは例の世田谷一家殺人事件のことで渦中にいた人の手記というようなことから読んだ人が多かったのではないかと思われる。1位にランキングされた「サイレントマジョリティ」はどちらかというと政治用語で現在はほぼ死語に近い気がするがこれが1位にランクされたのはこの言葉の意味することの底辺の広さで、ある程度本考を読んでいる人の年齢層を教えてくれそうである。
 5位、6位は今から8年前位に書かれたものだがこれが残っているのは興味深い。というのは独自なブランド戦略論を書いたものだからである。ブランド戦略の研究者や学生が何かの参考にしたということが考えられる。それとも昔サジェストされた回数が多いので残っているのかもしれない。いずれにしても他にはない見解であることは確かである。

 ところが「慎慮と洞察」に私の名前をいれると全く違ったものが出てくる。ランキングの順位は変わり項目は異質なものになる。
「血とバラ」「ついてはいけない」「ダウントンアビー」「ファミリーヒストリー」「アーノンクールの死」「羅生門」」「三菱銀行と三井銀行」「ホンダジェット」「セーヌ川の身元不明の少女」「サザビーズ」「カズオイシグロ」「東京で見る俵屋宗達」「マッキントッシュロンドン」「スキルトランスファーと丁稚奉公―2」「九条武子」「レッスン」「スキルトランスファー」といたって趣味的な内容が出てくる。
 いずれにしても390近くあるテーマの中で24編があげられているというのはこれらのテーマが開かれたということであり読まれた可能性が多かったということである。ビジネス関連のいくつかは明らかにブランド→ブランドワークス研究所→コラムに行きついて固定化していったと思われる。二番目の趣味的なテーマは二つあり、その時のトレンディーなテーマと思われる「カズオイシグロ」「ホンダジェット」と超二ッチなテーマではあるが熱烈な信者がいるテーマ「血とバラ」「九条武子」「アーノンクールの死」のようなもので、滅多にだれも書かないようなテーマを真面目に取り上げたことによるものなのではないだろうか。
 ただ見当のつかないようなものもある「セーヌ川の身元不明の少女」私自身こんな項目のWIKがあったのを何かの拍子にヒットして、どことなくロマンのあるような話だったから書いたのである。何となく興味をもって読んでくれた人のイメージが湧くようなものだ。
 
 この考とは違うものの膨大さにおいて似たもので松岡正剛氏の「千夜一冊」というエッセイがある。千回書いたのかと思い、そこまで行くのにあとどのくらい書いたらよいのかと思い調べて計算すると11年かかることが分かった。その時、私は83歳であり、そこまで書けるかな?と思い気持ちが萎えてしまった。

泉利治

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