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Column

プレップ・スクールって知っていますか?

 本考をどのくらいの人が読んでくれているかわからないが読んでくれている人の何人かの人は多分、教育に関心のある人かと思う。しかし、そんな人でもアメリカのプレップ・スクールについて知っておられる方はどのくらいいるのかわからない。
 かく言う私は教育には無縁の人生を送ってきた人間である。ただ、そんな人が教育機関の仕事に3年+αの期間、かつてないくらい心血を注いだことから。いくらか教育機関に興味を持つようになった。しかし、その仕事は基本的に対象教育機関の経営戦略にかかわる分野なのでその観点から、いわば教育をビジネスとしてとらえ、良好な経営環境を作るために仕事をしただけであった。ただ、その仕事の一環で海外の大学をベンチマークしたのでいくらか海外の大学事情等にも詳しくなった。
 それで分かったことは多々あった。たとえば、その世界は企業の世界より歴史が古く、それぞれの国家の成り立ちなどと密接に絡んでいることを思い知った。考えてみれば国の教育政策とは国家の栄枯盛衰を左右するのからである。

 本題の学校はアメリカにあるPreparatory schoolを指しているがそれを理解するには日本の学校構造から離れないと理解ができないかもしれない。と言うのは簡単に言うとそれは大学に入るための日本でいうところの予備校的な意味合いをもっているからだが、ただ、その目的とするところは正反対であるが、似ているところもある。似ているところとは名門大学のHarvardやYaelに入るための予備校として機能してところであろう。
 ただ、どうもそんなことは本質的なことではなく、この学校は人間の本質的な教育を施すためにあるということがミソなのである。
 私は何か大枠でも理解できる手立てがないかと考えて紹介の文章を読み進むうち思わぬ記述にぶち当たった。それはアメリカの義務教育は高校までということであった。したがって、アメリカの高校は多分、義務教育の範囲の勉強しか教えておらず、それは受験勉強などは論外なのではないかと言うことである。
 アメリカには3982校(3、3億人の人口なので、日本の1175校なので人口比でみると日米同じくらいの比率である)の大学があるので前記した高校の義務教育範囲の勉強で入ることができる大学がほとんどなのではないかと思われる。これらの大学はどうも広き門の大学のようで、日本からの英語を目的に留学しようとする人が簡単に入ることができる大学はこれらの大学であると思われる。

 では、アメリカ以外にも知られた名門大学に入るにはどうするのか?特別に優秀な選りすぐりの人を教育する人のための大学に入るためにはどうするのか?という疑問にぶつかる。名門大学とはアイビーリーグと言われた、ハーバート、エール、プリンストン・・・、西のUCLAやスタンフォードなどの大学である。プレップ・スクールとは簡単に言うとこのような大学に確実に入り、ノーベル賞をもらうような学生のための予備校がプレップ・スクールと言うことと私は解釈した(しかし、ノーベル賞が目的でない学生も多いのは事実のようだが?)
 このプレップ・スクールと言う学校はそれ以上の特殊な事情がある。まず一つは寮生活が前提であるということ、そして、そこで行われる教育はリベラル・アーツの教育であるということなのだ。だから、日本の予備校とは目的も手法も違うことになる。
 このリベラル・アーツ教育と言うことはどのような教育なのかわからないのでwikを調べると・・・リベラル・アーツは「実用的な目的から離れた純粋な教養」や「一般教養」とも、または人文学・芸術・自然科学・社会科学などの分野の基礎知識を横断的に学ぶ教育プログラム・・・・らしい?
 私はリベラル・アーツと言う言葉をそれこそ50年近く前から聞いてきた・・・・つまり自由7科と言われる。古来、西欧において必須の教養科目とされた7学科。文法,修辞学,弁証論 (論理学) から成る初級の3科と,算術,天文学,幾何学,音楽学の上級4科の7つの学科の事で、何となく中学校時代の授業の時間割のような気がしたものであったがどうもそこでクリティカル・シンキングを学ぶようである。要するにプレップ・スクールでは2年間の寮生活でそのようなものを体質化することであり、そのための教授陣がその道の専門の博士クラスの教授陣で2年間の寮生活の中で24時間、そのような教授陣から学ぶのである。どうも、ギリシャ時代のプラトンのアカデミアかアリストテレスのリケイオンのような学校だ。したがってそのようなプレップ・スクールに学んでハーバートやエールに入った人はどうなるのか?ここがアメリカの教育の凄さ、奥深さかもしれない。

 ノーベル賞を受賞したアメリカ人の7割がそのような小規模なリベラル・アーツ校の卒業者であると言われている。国別のノーベル賞受賞者を見るとアメリカの受賞者は桁外れの376人で2位がイギリスの118人、7位の日本が28人である。ただ、アメリカの場合は故国では資金や設備の関係でノーベル賞級の研究ができないので、世界の学者がアメリカに帰化して研究をしてノーベル賞を受賞するケースも多々あるので、その数字は多分に割り増しされている気がしないではないが。そのような人を除いても桁違いの数字である。

 私はプレップ・スクールと言う存在を知って思ったことは、10代の頭のいい子を2年間の寮生活で人間を変えるような教育を施す学校がプレップ・スクールなのではないかと思った。それはまさに一人一人の人間が本来与えられるべき教育の方法論のような気がしたからである。いわゆるそこは人生を学ぶ学校のようでもあるのだろうと思われるからだ。
                             2024年5月13日

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