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Column

 今さらネットポジティブ?

 ある会社の企業理念体系をまとめている。できれば最先端の考え方や理論を取り入れたいと思い世の中の情報に鵜の目鷹の目で、最新の知識、洗練された知識を取り入れて作ろうと思うのが人情である。
 そして、ネット情報に鵜の目鷹の目で、様々な識者の考えや書物を読んで取り入れよとしている。その典型的なのがユニリーバのポール・ボルマン氏の「Net Positive」である。
私も業務上?そのような巷で取り正されている情報に関しては一応、俎上に載せなければならない立場であり、とりいれざるをえなかった。
 そんなある日、いつか書いたであろう以下の文章を目にした。

経営者にとっての「アイデンティティの危機」
「アイデンティティの危機」とは自分は何者なのだ。という自覚が失われるということで、現在、若い人がとんでもない犯罪で逮捕されたニュースを見るたびに究極の理由はそうなのではないか?と思ってしまう。ただ、そのような危機はだれもが経験するものである。

企業経営者が“わが社は何屋なのだ?”という素朴な疑問を感じた時がその時なのである。

「それに関して私は強烈な体験を持っている。以前、カゴメの仕事をしたとき当時の伊藤正嗣社長に何度かヒアリングした際に直接聞いた話である。
私たちがカゴメ社のアイデンティティキーワードを“トマトと野菜にカンパニー”と定義して言った時・・・
後に、伊藤社長は“~実は社長に就任して何が一番嫌だったかと言うと、わが社を「農業食品企業」と言わなければならないことなのですよ、確かに間違いはないのですが、何んとも居心地の悪いモノでした。だから、「トマトと野菜のカンパニー」言い切ってもらった時には”これだ!と思いました“
それからのカゴメ社の躍進は目を見張るもので、一般的に食品企業の成長率とはそんなに急激に上がるものではないという常識を覆すものであった。昨年、カゴメは売上額を3000億円の大台に乗せた。伊藤社長はそれをはるか遠くから喜んでいるであろう。」
私はその時、企業にとってアイデンティティがいかに重要なものなのかということを知った。正直に言うと私自身が気づかされたのであった。
                             
カゴメ社にとって存立意義を確認し、125年にわたる生きざまを「トマトと野菜のカンパニー」と定義したし、その存在は地球環境にもいいに決まっている、なぜならば125年の実績があえてネットポジティブなどという流行語で言わないともいいだろうということになったからである。トマトと野菜を作るには健全な地球環境が前提なのである。伊藤社長のこれだ!と思った確信以上の企業理念コンセプトはないだろうと思ったのだ。
面倒な本を買ってむさぼり読んでも上っ面な薄っぺらな知識と信念しか得られない、そんな気がしたものである。
 今は最新の智慧は海の向こうから来ることはないのである。知恵ある企業はこの国には山ほどいることを思い知る良い機会であった。
                             泉 利治 251207

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