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やはり呪われた貴船紀行

 京都マニアなら、鴨川の始まり=京都の始まりである貴船神社を参拝するのは必須の礼儀であろう。今回の京都行きは第一日目に貴船神社行きを組み込んだ。しかし、その呪いは消えてはいなかった。
 最初の貴船行は今から40年近く前に最初の会社であるホンダを辞めた次の日にアコードで京都に旅立った時のことであった。車で京都に行くというのが夢であった私たちは12月の半ばくらいの日に確か目黒の自宅を旅立った。
 今、思い出すと自動車での京都行きは二回目であった。最初、新婚旅行で西日本を踏破した私たちは数年後の退職後の自由の半月間に2度目のそれを実行したのだった。

 35年近く前の京都は今とは全く違う景色である。市外の寺院などは車で行く方が便利で駐車場などにも困ることがなかった。私たちは京都からはほど遠い貴船に出かけたのは曇り空の寒い日であった。途中まで行くと雪がちらほら降ってきた。でも気にしない、前輪駆動車のアコードは雪に強いはずだ。とタカをくくって進んでいった。ところが京都の奥座敷と言われる貴船に近くずほどに雪は激しくなった。
 そうして、チェーンを付けていないことを思い出した。前輪駆動車でチェーンを付けていれば?以前は後輪駆動車でチェーンなしだったので吹き溜まりで突っ込んで動けなくなったのだ。
「この雪は貴船に近づけば近づくほどひどくなりそうだね?・・・今回はあきらめよう!」
それ以来で娘が生まれていなかった時なので35年前の貴船行きの話であった。
それ以来、貴船行は何度か企てられた。しかし、そこは呪われた地であるようであった。
 最近では貴船を知らべていたらパソコンが乗っ取られてしまった。運よく10万円を取られずに済んだもののそれは2年前の話である。
 しかし、今回の貴船行きはどういうわけか運が良かった。少々不便な地でありながら足には恵まれたからであった。まず、京都国際会館駅の前で30分後に来るバスを待たずに駅前に待機していたTAXIに飛び乗った。そうしたら、親切に貴船神社の前まで狭い山道を連れて行ってくれた。それで3000円だったのでそこまでの道中の山道をバスで来たなら歩かねばならず、大変な思いをするところであった。と言うのが私は貴船神社の奥宮まで行く予定であったからだ。若くない私たちはバスで来たならば本殿を参拝して終わるのが精々であったろう。しかし、おかげで奥宮まで参拝して、これが鴨川の始まりなのだということを確認できたからで、老境に入った私たちには大変なのだ。だが、帰りのバスも行き着いたらバスが来たり、電車も出町柳が終点であり、出町柳なら遅めのランチを取るのも問題なさそうであった・・・
 家内は久しぶりの出町柳のフタバでお気に入りの豆餅を買い私はその向かいの古物商で
陶器の中国の子供の図柄の急須を買い、ランチは商店街のお蕎麦屋で・・・までは良かったが?そこから貴船の呪いが始まったのであった。まず、お目当てのお蕎麦屋さんが臨時休業、代わりの店はなく、食べ物屋と言えばたこ焼き屋が一軒、店を開いているだけ。
まあ、関西はたこ焼きの本場だから、これで我慢しようと思い店の前の道端の急ごしらえのベンチに座りたこ焼きを注文、食べ始めた。空腹にまずいものはなしの言葉通り。一皿8個入りを家内と食べ終えてしまい、まだ空腹は満たされないのでたこ焼き煎餅があるというのでそれを注文するとソースの味でのどの渇きを覚え、ビールを注文。ビールとたこ焼きで何となく関西ぽっくなったので妙に京都に来た実感がして、ご満悦でHOTELに帰ると3時過ぎに部屋ができましたとの話で部屋に入ると何となくコーナーツインでも2522より狭い。今回はHOTELの手違いでいつもの部屋に入れなかったのだった。
 部屋に入っておちついた。まだ時間があるので今回の目的でもあった、新京極のジーンズショップでバンドを観に行くことにした。何とお気に入りのデザインでその上、サイズが私にぴったりのモノを手に入れて新京極を下った。
 思い出すだけでも貴船の呪いは忘れてはいなかった。丁度、誓願寺の前の広場の前に来た時、足がもつれ、激痛とともに歩けなくなったのであった。私は這うように誓願寺の前の入り口の前の階段脇で激痛に唸りながら、両足を休めていた。一向に痛みが取れない、救急車で呼ぶかと思いながら痛みをこらえた。足が寝ている時にツルのと同じなのだ。
 あの状況はだれが見ても異変と思ったろう?痛みが和らぎつつあった頃、ホテルにいる家内に電話して、誓願寺を教え、来るようにお願いした。私は家内に支えられるようにして、ホテルに静かに戻った。貴船の呪いは最後に恐ろしい形で襲ったとしか言えない。次の日、私は法然上人の誓願寺にお礼のお参りに行った。法然さんに救われた感じである。
                          2025年5月30日T>I

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