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ロナルド・コールマン

 アマゾンプライムのお陰で素晴らしい人物を知ることができる。タイトルのロナルド・コールマンはイギリス出身の俳優である。
 時代的に見ると1891年イギリスのサリー州リッチモンドで生まれ、1958年アメリカのカリフォルニア州サンタバーバラで67歳、肺気腫で亡くなっている。勿論、スターの最高の栄誉であるアカデミー賞は1947年「二重生活」受賞している。
 私は1946年に生まれているので11年間だけ重なってはいるが、映画好きの私でも70歳を過ぎるまで知らなかったのでアマゾンプライムがなければ出会うことのない人物であったことは確かであり、トーキー映画も経験している俳優でもあるからだ。
 彼の作品を初めて見たのは「ゼンダ城の虜」でアンソニー・ホープの原作の面白さもあって、これはどの国でもヒットするだろうと思った。だいたい、世の多くの国民はその国を統治している王家が好きであるからである。わが国でも先日、三笠宮百合子妃がお隠れに去った際のニュースはこれまで滅多に接する機会がなかったひとの耳目に届いたろうと思われた。いわゆる、王家の人たちのニュースを報ずるのは国家の義務でもあるからなのである。

 したがって、このような下地の下にルリタニアという仮想国の王家をモデルにしたこの原作の映画はヒットしないはずがない。そして、その期待された映画の主人公を演じたのに当時、このロナルド・コールマンをおいては他にいなかったろう。

 この映画では私の最大のお気に入りであるダグラス・フェアバンクスJrも脇役として出演しているが、 当時、若手だった彼はそれでも重要な役柄であったヘンツォ伯爵として、原作では第二部の主役となっているのである。  
 劇中で私は初め、イギリス貴族のラッセンディルを演じたコールマンに対して、それと遜色ないフェアバンクス演じるヘンツォ伯爵を、最後に殺すのが不本意であったので映画製作上の理由から、ヘンツォ伯爵を殺さないで逃がしたのだなと思ったが、実は原作では第二部があってそのタイトルが「ヘンッオ伯爵」なので、そこでかれを殺すわけにはいかなかったのであった。

 この映画をアマゾンでは二作観ることができる。ロナルド・コールマン&マドレーヌ・キャロルの旧作と後に作られたシチュワート・グレンジャー&デボラ・カー主演の新作で、こちらはカラーの作品で新作らしいが、主役を演じる二人の重みを考えると旧作のロナルド・コールマン&マドレーヌ・キャロルの方がどう考えてもバリューがあるように思える。このような場合の新作の狙いはいろいろあるがこの二つを見ると一番の狙いはカラー映画にしたことが客を呼べるセールスポイントになったと思われる。
 ラッセンデイィルにおけるロナルド・コールマンVSシチュワート・グレンジャーはどう見てもシチュワート・グレンジャーでは役不足である。あえているならばフラビア姫を演じたデボラ・カーかもしれない?デボラ・カーは確かにイギリス出身の俳優で気品があり、その上美しいことは間違いなく私も彼女の大ファンであるのだが、旧作でフラビア姫を演じたマドレーヌ・キャロルの美しさや気品、その演技力はデボラ・カーの長年のファンである私もこれは良くて互角、正直、勝ってはいない気がしたものである。

 また、アメリカ版のwikを見て知ったのだが、旧作の方は―1991年、この映画は米国議会図書館によって「文化的、歴史的、または美的に重要」と見なされ、国立フィルム登録簿の保存に選ばれました。になったくらいなので、旧作の方がどう見てもバリューがあるようだ。たしかに、何度見ても、少し経つとまた見ようという気になるもので、これだけの映画作品は他にはこれもイギリス映画であるが「絶壁の彼方に」くらいなのである。もう創られてから100年に近い作品なのだがこういうのを名画と呼ぶのだろう。
                          2024年12月1日T>I

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