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Column

ガーデニング

 ガーデニングという言葉がいわゆる、「園芸」とか「庭いじり」という言葉の新しい呼び名に代わって何年くらいなるのだろうか?

 私は中学時代は柄にもなく園芸部に入っていた。何のクラブ活動をしていない私に担任の山田先生が“お前、何のクラブ活動もしていないのなら園芸部に入れ”と半ば強制的に入ることになった。その理由が園芸部はつまらないクラブなのでだれも入らず、担当の山田先生も困り果て、白羽の矢が私に当てられたのであった。
 今から考えると部員ゼロの原因は園芸部という名前のせいなのではないかと思っている。
どう考えても園芸部というのは中学生にとって魅力的には映らない。そんなことから、部員一人の私は一人ぼっちで校庭の片隅にある小さな場所に一人で鍬を持って耕し、チューリップなどの球根を植えていた。先生が私を入部させた理由は多分、生徒が誰もいないので予算を申請できず、お金が入らないので花を植えることができないという理由だったらしい。とりあえずは私が一人で予算編成会議で先生が書いた予算申請書を全員の前で発表して獲得することになった。
 今だったらクラブ名を「ガーデニング部」と変えたならば部員はかなり集まったと思われる。園芸部で校庭の片隅で鍬をふるっている姿はどう見てもお百姓さんの倅が家の畑を手伝っている感じなのだ?こんなクラブでは女の子も来ないし・・・・?
 ところが何年かして女の子が徐々に入るようになった。それも結構、可愛い子が入ってきたのであった。そんな現象が起きると今度は“お前、可愛い子がいるから園芸部に入っているのだろう”というような逆転の現象が起きる。そのたびに私は“それは逆だよ、俺がいるからかわいい子が入ってきたのだ!”と弁明したものであった。部員も増えたおかげで予算を多くなり、校庭は四季の花々で見違えるようにきれいになった。私の人生初のサクセスストーリーだ!

 今、我が家の庭革新をここひと月ぐらい足腰の痛みと格闘しながらほぼ毎日作業している。わが家の庭は大きくはないが65坪くらいの敷地の建屋の周辺の数か所に分散されてはいるがメインの庭は道路に面したところに2.5m×5mくらいのスペースがあるので、最終的にはレンガでイギリス風の庭をデザインしてそれなりに仕上げた。そして、そこには麝香バラとオオイタビと西洋蔦を植えて緑で家を覆われる様にした。
 しかし、現在、そのお陰で柵はそれらのお陰でひん曲がり、庭全体は彼らの根がはびこり何も植えられなくなってしまったのであった。この手の植物が庭は勿論、家の擁壁等も破壊するのは何十年か経つとどこでも起きるらしくこれを食い止めないとえらいことになる。
 この弊害を食いとめるのに庭師を頼んだら、多分、百万円は下らないだろう?
そこで、私は老骨に鞭打って挑戦することになった。もう一月、作業しているが40年近く育てられた3つの繁殖植物を食い止めるにはあと一月は要するだろうと思われた。作業は高所もあるので危険を伴うし、その根を引っ張り出すのはかなり力を要する作業なのである。
 私の家の景観を目にしていた人が作業中によく声をかけてくるのが多いのはそれだけ見知った景色が変わろうとしているのが気になるのだろう。最終的には麝香バラと西洋蔦だけの節度のある庭に変身させるつもりなのである。緑の要塞から節度ある庭への人生の総仕上げにも例えてもいいようなガーデニング作業が進行中なのである。
                           2024年11月25日T>I

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