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Column

西部劇

 昔、西部劇という映画のジャンルが繁盛していた。アメリカの映画会社の十八番であった。いわば、アメリカの時代劇だ。それにしてもよく見たものであった。少年時代の夢にまで見た世界であった。それは映画だけではなくテレビ番組も同様で「ローハイド」「ボナンザ」「ブロンコ」「シャイアン」「ララミー牧場」以上が一時間のドラマ、30分のモノとしては「コルト45」「ライフルマン」「西部の男パラディン」「バットマスターソン」etc
空でこれだけが思い浮かぶのだから認知症どこ吹く風である。あと?幌馬車をテーマにした一時間モノがあったな?
 今から考えるとこれらを見たピークは中学生までで、中学の後半はイタリアやフランスの現代劇を見るようになった。たとえば昨日の文春に新聞広告に載っていたアラン・ドロンやクラウディア・カルディナーレのラブロマンスのような映画だった。勿論、ハリウッドもののラブロマンスもみたものであった「恋愛専科」はビデオを買ったくらい今でも愛視?している。

 私の映画歴の初期にある西部劇をアマゾンプレミアムで見るようになった。アマゾンプレミアム歴もかなり長いが西部劇を見始めたのはここひと月くらいである。当初は西部劇の古典とも言われたが見損なったもの、たとえば「荒野の決闘」「ワーロック」などだ。そして一昨日見たのが「ケンタッキー魂」その前が「ホンド―」これらは西部劇の最大のスタージョン・ウェインの映画。昨夜、観た「怒りの河」はジェームス・スチュワート主演である。
 久しぶりに西部劇を見るとこれまでとは違った面白さや発見があるもので昨夜観た「怒りの河」は幌馬車で自分たちの開拓地に向けて旅をする物語なのだが、ともかく幌馬車はアメリカの大平原を西へ、西へ、といくモノだと思ったのだが、その幌馬車隊はミシシッピー川を蒸気船を利用して旅をする、下船した後に信じられない山を登って目的地に着くのである。
その移動のために幌馬車隊はどうもガイドを雇うらしく、主人公のガイドはジェームス・スチュワートで目的地まで送り届けて、その幌馬車隊のリーダーの娘と結婚?というストーリーだが凄いのはその幌馬車の行くところの地形の凄さ。今どきの四駆の車でも通れないような荒れ地を踏破するのだが、そのプロセスがびっくりするような映画であった。四頭の馬に曳かれた幌馬車!サスペンションもついていない、人間が乗って操作するのだが、人も凄いがそれ以上に馬も凄い、またそれ以上に馬車も凄い。
そんなことを思いながらアメリカの建国とアメリカ人のスピリットの凄さをあらためて感じるがこれじゃトランプが大統領になるわけだ?と妙に感心してしまう。しかし、トランプにそんなワイルドな勇気があるとは思えないが?
 アメリカ人のフロンティアスピリットを現在どんなところに感じるか?一番の典型は世界の経済を牽引する力をこれだけ豊かになっても持続させているところだろう。たとえば経済力は世界が必要とする価値を創造した国が豊かになって世界を牽引するからであるがかつてスペインやイギリスがそうだった。
そして戦後は日本が世界を牽引したのであった。ところが今はどうだろうかGDPで4位に落ちてもうすぐインドに抜かれて5位に落ちてしまう。私が20歳の頃、日本はアメリカに次いで2位であった。しかし、数年前3位の日本をドイツが抜いた。

ようはそんなことが言いたいのではなく、あのアメリカが君臨し続けているという事実なのだ。理由は?フロンティアスピリットだと思う。新しい世界に挑戦するという民族性だろう。
日本は古来新しい世界を探し出してそれを輸入する文化なのである。少なからず日本を豊かにした戦後の立役者でフロンティアスピリットを持っていた人は手前みそではなく本田宗一郎とソニーの井深さんと盛田さんのような気がしている。かれらはフロンティアスピリットの国のアメリカに売り込んで受け入れられたからだ。多くのアメリカ人はHONDAとSONYはアメリカの会社と思ったらしい。
 かつて西部劇ファンだった老人はそんな回想をいくつかの西部劇を懐かしんでみて思いをはせたのである。
                               2024年7月29日
 

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