ブランドワークス

Column

いずとカンタービレ♪♪

 今から八年前、何か人生でやり残したことはなかったかと自分に問うて始めたチェロが
もうすぐ9年目に突入する。しかし、昨年の7月でチェロのレッスンに通うのは止めた。

 最後の頃のレッスンは趣味人ならではのレッスン内容になった。最初の頃は2冊の教則本と楽曲の3冊を毎週練習してきて、見てもらい注意を受けて次回の宿題にするということだったが、ある時から弾きたい曲だけのレッスンに変えてもらうことにした。音大を受験するのではないからである。
 それとその練習内容では趣味人にしてはつまらない曲ばかり弾くことになるからである。
私が弾きたいのはバッハだけだ。あの有名な無伴奏チェロ組曲6×5の約30曲である。
昨年の7月でチェロのレッスンをやめたのは週2回のレッスンでもほとんどレッスンにたる内容を俎上にあげることができなかったからである。
 それはいくら練習しても次のレッスンに耐えうるだけの内容に仕上げることができなかったからだ。これでは時間とお金の無駄だなと思ったので学院を卒業(中途退学)することにしたのである。
 
 私の通っている湘南音楽院はレッスンをやめた学生も半年以内ならばレッスンを受けられる特典があり、それを過ぎるとまた入学金を払わないとレッスンを受けることができないということらしかった。
 2023年1月でその半年を迎えることになる。そんなことを報せる年賀状が先生から届いた。辞める時にお知らせの連絡をしますね?と言われたからである。元旦にそれをみて??
さてさてと思った。しかし、見てもらいたいものはあるのだ。この半年間それでもバッハの無伴奏チェロ組曲3番のアルマンドは練習しており、どうしても弾くことができない箇所や間違っていると思われる箇所を指摘してもらいたいと思っていたからである。
 
 たとえばスタッカーの弾き方、7小節~9小節の3つの音の和音で上昇していく部分、後は間違って弾いているところの注意などである。とくに和音の上昇部分は目の前で弾いてもらいたいと思ったのでそのこともお願いした。
 というのはフルートのレッスンを受けていた時、教則本はデュエットで構成されているので生徒の間違いを先生は言葉だけではなく、実際に吹いて指摘してくれたのである。チェロの場合、というより私の場合はそこは違いますと楽譜の譜面を指摘するだけなのでさっぱりわからなかったのである。それが頭にあったので、事前に注文?お願いした。
 そんなレッスンを控えたある夜、話題になった「のだめカンタービレ」をアマゾンプライムで観たのだがこれがことのほか面白かった。
 ご存知の方は多いと思われるが日本人のクラシック音楽を勉強する若者たちが本場のヨーロッパで活躍する映画で正直、その道を少しでも考えたことがある人ならば誰もが見てみたいと思われるような映画(漫画)であった。その中に主人公がフランス人の教師からレッスンを定期的に受けているシーンがあって、それを見る限り、教師は脇に座り口頭で注意するだけで弾く事はないのである、レッスンとはそういうものか?と思い直したが、あれはピアノだからなと思い直し、やはりユーチューブで何回きいても分からない部分は、目の前で弾いてもらわないと判らないのでお願いしていいのだなと思い直した。

 当日、事前にレッスンの目的を話しておいたので私はすぐに準備をした。以前、3階の教室の椅子が低く不本意なレッスンになってしまったことを話しておいたので椅子は五階のモノが準備されており、私は予定していたバッハのアルマンドを弾き始めた。しかし、やはり想定した半分ぐらいの出来で弾き終えた。問題の3つの和音の上昇はポジションが間違えていたことと、弓がdownとupの組み合わせで3つの和音を鳴らすことが分かった。これは晴天の霹靂であった。これだけが分かっただけでも今日のレッスンの収穫だと思った。
 あと気づかないところのポジションが2か所間違えていた。総評として第三ポジション、第四、第五と使い分けて弾いているので良かったということだった。だが、本当のところ大変だった、チェロは同じ音が2つ,3つのポジションがあるので大変なのである。ピアノやフルートは基本的に一つの音に一つのポジションであるので楽なのだ。多分それらが弦楽器が一番難しいと言われる所以なのであろうと思った。
 私は7年やっても第1ポジションしか使いこなせないので、それが限界になっていたのだ。しかし、悔しいが今でもそれは変わらない。いわゆる、算数しかできない学生のようなものだ、方程式などとんでもない気がする。だから算数で上手く弾けるようになるというのが私の目標であろう。しかし、バッハのフルニエ版は彼が弾くようなポジションを指定しているのでその通りに覚えたら何時しか方程式や微積分の初歩くらいは分かるかもしれない。
 進捗度だがA4一枚のページに記載してある1曲をそこそこ弾けるようになるのに丁度半年かかっている。そういえば第3番のプレリュードはA4×2枚だったがそれには1年間費やしている。
 最後の問題は楽譜に書いてある音が弾く前にイメージ出来ないことだろう。ある時、先生が弾く前にその音が分からないのですか?と聞かれた。分からない、弾いてみてやっとわかるのですよ!というと驚いたようだった。したがって、その音が低いか?高いかなどシビアなところは全く分からないそこが8歳からチェロをやった人とそうでない人の違いなのだ。
目も弱くなり、乱視気味なので音符が見えても微妙にずれてしまう。今、第3番のクーラントに挑戦している。天気晴朗なれども波高し?
                               2023年2月6日

Share on Facebook