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Column

共和党と民主党

 このアメリカの二大政党に対する理解は私の頭の中では日本の自民党と社会党という構図でいつの間にか定着していた。物心ついた時にアメリカの大統領は誰かを考えた時、アイゼンハワー大統領だったことで、この人物が所属していた共和党が子供心に共和党=自民党というつながりでアメリカの政治構造を理解していたのである。

 私が自民党を支持していたのは反共産主義であったからで、若い従業員を使って店を営んでいた家で育った子供にしてみれば店の経営に何かと異論を唱えて、親である店主を困らせる輩のバックボーンになっていた共産党がいかに厄介な存在であったかは変わらない確信となった。戦後間もない時代は共産主義、社会主義が日本社会に信じられないくらいの根を張り巡らせていた。その余波が少なからず残っていた私の子供時代はこの政党の
バックボーンになっている思想を毛嫌いする以上に憎悪していたと言ってよいだろう。
その典型が安保闘争だったと十代の子どもは理解したものであった。この人たちはなぜこんなに反対するのか分からなかった。ただ、いずれにしても自民党の政策に反対していたことは確からしいと思うのは当然であった。なぜなのだろうか?そうか!かれらはアメリカに追従するよりロシア側について、日本をロシアのような社会主義国にしたいのか?!

 私の中の政治理解はそこで止まりでその後、変わらない。ただ、どちらかと言うと西側志向の私の思い通りに日本はなっていった。そしてテーマが政治から経済に移るようになった。その中で日本は初めて世界の中心的な役割をするようになった。G7のメンバーになり、一時はアメリカを凌ぐ経済大国にもなった。政治的にも日本はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、カナダなどともに西側の世界の先進国の一国になった。あの時、ロシア側についていたらこうはならなかったろう。

 したがって、ケネディとニクソンの戦いの時は当然ニクソンを応援した。ただ、ケネディがキューバ危機の際に敢然とロシア、ソ連に挑んだ時は拍手喝采したものであった。アメリカは資本主義の代表国なのだ。そのあたりで気づけば良かった?アメリカの民主党は共産主義、社会主義を信奉しているのではないのだと。だいたい政治に関する私のセンシビリティはその程度なのだ。

 トランプが大統領選に立候補して大統領になった時。決して心配はしていなかった。典型的な共和党の大統領になると思っていたからであった。それに私と生まれた日が4日しか違わない人物だったからで、妙な親近感を持っていたのだ。しかし、数年して、私は自分の生まれた日を疑った。次第に彼を見限るようになったのは時の趨勢であった。ただ、そんな彼を信奉するアメリカ国民が分からなくなった。

 その頃、なぜ共和党が資本家寄りであるのかを考えてあるアイデアが浮かんだ。共和党の起源は南北戦争で言うところの南軍なのではないかと彼らは奴隷を使って事業を営み豊かになった資本家なのだ。そう考えると北軍は奴隷制を反対の立場をとる北軍なのだ。そうか、それが民主党の起源か?そう考えると民主党のバックボーンは正義というヴィジョンがちらついているではないか?民主党は奴隷を使わないでアメリカを裕福な国にするというヴィジョンを持っていた。そう考えると私は一気に民主党の側に鞍替えた。
 しかし、数日してとんだ事実が目に飛び込んできた。アメリカ大統領の中でもひときわ輝く大統領のリンカーンはなんと共和党なのである。トランプと同じ共和党なんて・・・!

と、ここまで書いて私の生半可な知識ではこの問題は手に負えないことが分かりこのテーマの論考は10月13日まで手を付けられずにデスクトップにおいてあった。
 あえて、本考を書こうと思った理由は10月13日の朝日新聞朝刊の「多事奏論」というコラムにアメリカ総局長・望月洋嗣氏のコラムが載っていたからである。

 アメリカには現今の政治に不満を持つ人たちはイデオロギーに関係なく、その不満を解決してくれる大統領を支持するという事なのである。したがって、バイデンがアメリカ有権者を一つのヴィジョンの下で結束させようとする方法は成功しないと言っているのである。では、それは何か・・・「大切なのはより多くの人が一致できる政策課題を探すことなのである」という事なのだ。なんと現実主義であるのか。それゆえアメリカは世界一の豊かさを実現できたのである。
 したがって、アメリカ国民は豊かな生活を実現してくれるための喫緊の課題に挑戦する人・党を応援するのであろう。そう考えるとこれも一種の社会主義ではないかと思った?確かに国民一人ひとりが思っている社会主義であり、ロシアが夢にまで見た社会主義ではないかと思った。しかし、ロシアの場合、ごく一握りの人しか豊かにはならない社会主義だ。

 やっとの思いでこの考から解放された。これで少しはアメリカが分かった?50年近く遅れたが!         
2022年12月12日T.I

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