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Column

一向に上達しないのは仕方がない

 何の事はない68歳の時に始めたチェロの事である。今になってみるとやはり鍵盤楽器にしておけばよかった?と思っているがよく考えるとそれすら8年後に同じタイトルの愚痴を書いているかもしれない。
 チェロというより弦楽器は一番難しいと言われていた。身に染みて“確かにそうだ!”と言い切れる。何度弾いても上手く弾けない。確かに素人にはバッハは難曲であることは分かるのだが?いろいろ考える。練習の仕方が拙いのか?年令ゆえの限界か?才能ゆえの問題か?そう、考えるとやはり、レッスンに通った方がいいのかもしれない気がしないではない。ただ、レッスンに行くとじっくりと練習できずに次のレッスンに向けての練習になってしまい、ちっとも楽しくないのである。
 たしかにレッスンを辞めて2か月だが、落ち着いて練習ができる。つまり、客観的に自分の技倆を推し量ることができる。そうすると、どうしようもないくらい下手だな?というストレスが発生してしまうのだ。
 それにそうすると余計なことも気になる。自分の楽器ではいい音が出ないというストレスだ。確かにYouTubeで他の人のチェロの音を聴くと本当にチェロの音がするのだが?そういう音がしないのである。
 それにはいろいろ理由があるらしい。確かに2週間ほど前に弦楽器店に行って3台ばかり弾かしてもらったのだが、そんなに私の楽器と大差はなかった。とくに100年前の楽器で200万円というプライスカードに付いたのを弾いたのだが、まったくひどい音でやはりオールドチェロは?という気になった。というのが私の弦楽器観は古い方が良いと思っていたからであった。しかし、それを弾いた結果、分かったことは自分の楽器もそんなに悪くはないのだな、と思ったことだった。
 
その弦楽器店はルーマニア製の楽器を積極的に買い付けているようで何台か弾かしてもらったが私のよりはいい音がしたようであった。それ以上に良かったのはチェロ本体の抱き心地が良かった点である。私のドイツ製チェロとの違いが知りたくて店の人に調べてもらったら厚みが上板一枚分くらい薄いことが判明した。
 私の体にはその方がフィットするのである。フランス製もイタリア製も同様だったのでやはりドイツ製というのは少々ごつく出来ているのであった。重工業が発達した国だからかな?と妙に納得したのだが、私の体のサイズ自体が現代ではXSになってしまったのであるから仕方がないのだろう。昔はMだったが?
 それに今の円安ではフランス製のチェロなど買えるわけはない、2月に126万円の同じチェロが現在154万円に値上がりしたようで買えない、宝くじでも買わないと?

 本題のチェロの技量に戻るとチェロが下手な要因に左手の指先の問題がある。いわゆる4本の弦の2と3の弦は指先で押さえないといい音が出ない。なぜいい音が出ないかというと爪が指板にあたって押さえられないからである。その解決法は血の出るような練習をして指先の肉を爪より先にあたるように肉体改造することにある。
 かなり痛そうだな?などと思ったら上達は叶えられないだろう。みんなどうしているか調べると徐々にやすりで爪先を削るらしい。それとも第一関節を逆方向に曲がるようにするとか?このあたりの肉体改造は老人には不可能である。

 一昨日から考えたのは練習法の変更だ、BACH無伴奏チェロ組曲の曲を決まった順番に集中力を切らさない程度の頻度で規則正しく練習することである。内容はいたって簡単!
2番プレリュード→3番アルマンド→3番プレリュード→1番プレリュード。最初に二つは弾けるようにする、次の2曲は完全に暗譜をする。それぞれの曲の練習目的を明確にして臨むことだ。
2番プレリュードは仕上げの練習、3番アルマンドは新曲練習、3番プレリュードは暗譜前の細部練習、1番プレリュードは完璧に向けて。加齢による能力の劣化への挑戦である。
                             2022年10月10日T.I

PS/ルーマニアということが出たのだが、弦楽器生産国というイメージわかないので調べると実際はかなり、盛んらしい。価格帯は中国製より上ということだが、中国製よりイメージが良いのはヨーロッパの1国だからか?それ以上驚いたのはウクライナの隣国であること、人物ではチャウチェスクとコマネチそしてドラキュラが有名人。最も驚くべきことは“魔女”という職業が国家によって認められていること!!

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