ブランドワークス

Column

光悦はばたく 水の巻

 結局、水の巻を書き終えるのに2年の年月がかかってしまった。その理由は、かつての本業の仕事が入りそれで一年を棒に振ってしまったからである。そして、その仕事を終えて昨年の6月から再スタートしたがそれまで書いた半分を読み込んで全体を再構成するまでに四カ月近くかかってしまい。昨年末、から書き始めやっと今日5月10日に出版の準備に入ったのだ。
 Kindleで本作は9作目にあたる。本作を焦ったのが本作は5巻本でその、2巻目にあたり、時代が鎌倉時代なのでNHKの大河ドラマの「鎌倉殿の13人」ブームに乗じようと目論んでいたので。できたら年頭から発売したかったのだ。ただ、大々的に店頭に平積みされるわけではないので、売れるかどうかわからないが?
 この本は書き上げたとしたら確かに大河小説と言われるだろう、というのは本阿弥家という刀剣の研ぎ、拭い、鑑定を生業として来た家の770年を書こうと思ったからである。これまで数多の作家がいるがそれだけ長きにわたって書こうとした作家を私は知らない。

 元来この本は本阿弥光悦を書こうとしたのだ。きっかけは「宗達はじまる」という本の中で登場させた光悦をあまりに悪く書き過ぎたので、本当にこの人物そんなに悪い人間なのかと考えたら、それは松本清張の「日本芸譚」の中での光悦像に影響されていたことがわかり、本当に光悦とはそんなに意地悪で狡猾な人間なのかを調べてみようという気になったのだ。
 そこで彼の家系を調べたらなんと鎌倉時代から現代まで脈々と繋がった名家であることが分かりそこに興味を覚えたのがきっかけである。
 
家系図と言うモノは昔から人間の質をものがたるものということで世界共通のものである。ともかく、家系図がしっかりしている人間なら間違いないはずだという、なんとはない社会のコンセンサスがどの国の中にもあるようである。
 残念ながら松本清張はあれだけの才能を持っていながら、家系図どころか自分がどこで生まれたのかもわからないということへのコンプレックスからその対極にある本阿弥光悦をいわば意地の悪い大先生という風に自著の中で書いたのだった。多分に清張の事だから本阿弥家の系図なども調べたろうと思われる。確かに始まりの数代は・・・?と思われる部分がある気がしないではないが・・・?ただ、調べようがない。
 そこで私はその松本清張の対極とした小説、この家系図に則った物語を書いてみようと思ったのである。本来は始まりから光悦までの300年を書いてみようとしたのだが、どうせなら、今日までの770年書いてみようかと思った次第である。
 しかし、多分、物語の山は始まりの五条長春、家系の頂点の本阿弥光悦と光悦村、
そして明治以降、美術刀としての復活の三つを中心に770年の物語を紡いでいくことになると思われる。そうは言ってもこの長きにわたる小説、プロの作家なら挑戦しないだろう?
 ただ、私のこの構想に着眼して書き始める人もいるかもしれない。そうなれば面白いし、文芸界の“鬼滅の刃”ブームの様になればいいのではないか?
 このような小説のテーマの面白さが分かったのはやはり「宗達はじまる」である。この謎の画家にいわゆる血を通わせたくて小説にしたのだが、面白いことはそれを書くために面倒な歴史上の事実を調べて、その事実とつじつまを合わせる物語にする面白さなのである。そこがこのような小説のファンタジーなのではないかと思っている。
 たとえば「光悦はばたく」では単に歴史上の人物として大理石の塑像然とした北条時宗に命を与えて血を通わせたことであろう。こうしてみるとこのような小説のネタは無限にあるに違いない、そんな人物はごまんといるからだ。たとえば鴨長明はどうだろうか、紫式部だって面白そうだろう。それぞれ全国にその人物のファンは少なからずいるからである。そのような人にとっては読みたい本の部類に入るだろう。
 
 最後にこの手の小説を上梓できるようにしてくれたアマゾンkindleに感謝したい。このインフラがなければ小説を書こうとする気は起きなかったからだ。ただ、出版のための手続きで起きるトラブルには困ったものである。一年位のスパンで上梓するので、年令のせいか忘れっぽくなり一年前の操作方法を忘れてしまうのである。今回のトラブルの傑作は書名を間違えて入力してしまったことであろうか・・・まあ、新聞小説のように毎日小出しにすればいいかもしれないが?
 興味ある方は是非、ご一読のほどを!光悦はばたく!である。

PS.本考の公開手続きをしようとしてヤフーを見たら、24年の大河ドラマは紫式部という発表。なるほど、同じように考えている人はいるものだ!!
                                    T.I
2022年5月16日

Share on Facebook