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Column

プーチンにはまいったね

 彼は真剣だとは思うが、どうみても喜劇である。ショーとしてはよく出来ていると思う。
そして、面白い。アマゾンプレミアムでロシアの戦争映画を時々見るが敵はナチであることによってその映画の社会的存在意義というものを最低限守っている点において最低限の人類としての良心的規範は守っていた。ところが当のその国が人類としての最低基準をその優れた戦車でひとたまりもなく蹂躙したのである。その比はトランプの暴徒による国会への乱入と似てはいるがスケールがロシア的な大きさを持っている。
 本考がいつ書き起こされたのかを見ると2月27日になっている。今日が3月2日なので5日たっているがその紛争が終わりそうもない。数時間でロシアにひれ伏すと思ったウクライナ軍が持ちこたえているのである。正義という確信がそれを支えているに違いないし、一方ロシア軍にはその侵攻が何かおかしい、そして、どうも自分たちが悪いのではないかという危惧が渦巻いているような気がしている。
 
戦争の前提は信じるに足る、客観性をもった、歴史的尺度で考えて自分たちの大義名分が納得できるかで始めるべき思う。とくに情報化時代の戦争はそのあたりの結論が明確に早く出るものである。したがって、どうも、自分たちの分が悪いと思うと勝ち目はなくなるだろう。
 ロシアの今回の紛争は煎じ詰めれば領土拡大の欲求が根本にあると思われる。本来、本考のようなテーマは正直あまり得意ではない。というのは本考特有のユニークな視点を探せないからである。すでに発信されたニュースをつぎはぎして書くほどつまらないことはない。
 
だが、運よく新たな視点が思い付いた。私はここ何カ月、元寇について色々調べているのだが、そこで思うのはどうして蒙古国はあのような巨大な国をつくりえたのかという事であった。当時の蒙古国の人口は高々200万人で国民と言うより大きな部族民と言うくらいの量だ。
 まず、あの時代の他の国を支配する方法は力で制圧することである。つまり、その国の軍隊に圧勝して従わせることである。国が巨大だからと言ってその国の軍隊が弱くては赤子の手をひねるようなものである。チンギスハーンは自国の何十倍の国の軍隊を破り、従わせた(あの中国も)。多くの国は小さな蒙古国の支配下に入り、貢物を定期的に贈らないと痛い目に合うので、蒙古国の無理難題を全て引き受けることになったようだ。
 多くに国を支配下に置くというメリットはそういう事である。考えてみれば自国を栄えさせるために選ぶ最良の解が他国を従わせることなのである。今回のロシアによるウクライナ侵攻もそれが理由であろう。
 ロシアのその発想は多くの点で蒙古の発想と同じである。まず隣の国を支配下に置き。次にはその隣の国を支配下に置く、それがエスカレートするとウクライナにまでたどり着く。それは巨大な陸続きの国々であるからだ。その結果ロシアと蒙古国は歴史上もっとも大きな国になったと思われる。それは大きければ大きいほど国は栄えるという根本思想が根底にあるのだ。そんな発想は島国の日本には生まれるわけはない。
 しかし、島国で巨大な国をつくった例としてイギリスがある。しかし彼らは戦という方法でそれらの国を治めたわけではない。基本的にそのような国に対して力で圧制し、搾取したという話は聞かない。それゆえ友好国として現在まで英国連邦ということに誇りすら持って、自国の国旗に英国の旗を入れているくらいである。そのあたり、ポーランドやルーマニアがロシアのシンボル(ソ連かな?)鎌と鋤のマークを入れただろうか?
 今回のウクライナ紛争の根幹にあるのは領土拡大欲求である。この点に関して鎌倉時代の蒙古国の方がまだ賢かった、蒙古国の場合はその国の宗教や経済システムは尊重しており、要するに蒙古に対して一定の貢物をくれればそれでいいとされていた。
 その見返りとして貢ぐ国の安全は保障しますよということなのだ。したがって貢ぐ国が他国から攻撃された場合、蒙古国はそのために身を挺して、一緒に戦うことになる。今回の場合、ウクライナはロシアに貢物を捧げていたのかどうかわからないが?

 しかしこれまでとの違いはロシアが大上段にマルクスレーニン主義を押し付けたというようなことが戦争の原因になっているのではないことだ。いずれにしてもこれまでロシアはその領土に住む様々な文化・宗教を持つ国家群を束ねるためにマルクスレーニン主義を強制したのだが、今回そのような話は聞かない。イデオロギーなどという、形而上学的な理由を大上段に振りかざすのは本来この国は苦手なのだ。
そんなに知性が高い国家ではない。ゆえにプーチンの個人的趣味趣向になっているところがなんとはなく古代的国家であるロシア的なのである。そう言う点で“まいったね?という話なのだ。
                                   泉 利治
2022年3月14日

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