ブランドワークス

Column

アンティークWatch,Car,Man

このところ立て続けに腕時計、自動車、体と?続いている。私はモノに愛着をひときわは持つタイプであり、気に入ったものなら生涯使い続けるくらいの気持ちを持っている。それらのベストグッズが一月の間にトラブルに見舞われている。
 まず、腕時計。今から56年前、19歳の時に買ったENICAR,ultrasonic,AUTOMATIC,
Sherpa,DIVETTE,33。ダイバーズウオッチだが?当時そんなカテゴリー名では呼ばれなかった。当時、だれもそんな腕時計をしている人はいなかった。私の腕時計(もしろん機械式である)への興味が湧いたのは、父が腕時計道楽に近い人で気にいった腕時計を買っては古いこれまでしていたものを母に渡して、倅が大きくなったら上げるようにと言ってタンスの鍵のかかる引き出しにしまっており、何かの時に私にそれを教えてくれて以来、何かとその腕時計を撫でるように身に着けた記憶がある。
 中学生になって腕時計をして学校に行ってもいいようになって、それをした記憶があるが、もしかすると高校生になってもそれをしていたと思われる。高校に入りバスで通うようになり、腕時計は必須のものになったからである。
 その後、高校を卒業して、腕時計が欲しくなった、あの父の御下がりにあまり魅力を感じなくなったのだろう。その背景にはこの、エニカのシェルパに惹きつけられたからだ。当時機械式腕時計のスタンダードが3000円くらいの時代にその時計はその10倍の価格であった。というのは第一次南極観測隊の御用達の腕時計であったからだ。私は経済誌エコノミストに載っていたその時計のカラー刷りの広告を微かに覚えている。
 高校を卒業して何となく家業の手伝いをしていた時、母からその時計を買ってもらった。金額は33,000円である。それはコモディティではなく、貴金属の範疇に入るものであった。19歳の男の子にしては贅沢を超えた持ちモノであった。
それ以来、その時計は私のこれまでの人生を一緒に生きたものである。まさに肉体の一部として右腕で心臓に同期して動いてきた。そして、亡き母の思い出でもある。その時計がレストアしてかつての動きを取り戻した。その修理報告書には注意事項の記載があった。

※アンティークのため、修理の後の保証期間は6カ月・精度はできる限りで調
整いたしました。

時計におけるアンティークとは後期高齢時計とでもいうのだろう。機械にもそのような概念が必要な時代になったのだ。

それと全く同時期、2008年に買ったBMW330Xiをモスバーガーの前に止めたら、突然、車から出られなくなる。ロックがかかり、出るに出られなくなった。車の中からBMWのロードサービスに連絡しようとしたがうまくつながらない。運よくその日は運転席側の窓がいくらか空いていたのでそこから体を滑らせるようにルーフの端につかまり外に出た。
表に出て何の気なしにリモートキーを押すと今度はロックが解除された。どうしたのか?
たしかにコントロールディスプレイに妙な警告が出たり何かおかしい。次の日、今度は運転席側のウィンドウが途中までしかあかなくなった。そうして二度操作しないと全開しなくなり、最後は5回操作しない全開しなくなる。ディスプレイにはさまざまな警告がでる。たとえばDSC,四輪駆動システムが機能しませんなどである。
 サービスセンターに持って行く。その場では治せそうもなく、預けることになった。
何日かして連絡が来て、原因は車のコンピュターシステムが壊れたとのこと、交換することになった。ステアリングコラムスイッチセンターというらしい。ステアリングの根元にそのような自動車を司るコンピューターあるらしいが、どうも原因はバッテリーの電圧が低いとのこと、車に乗らないためバッテリーに電力が供給されないので、それが原因らしい、一応充電して毎週一回くらい長い距離は知らせてくださいとのこと、でないとバッテリーがだめになりますよ、交換して2年だからね・・・?
 そういえば最近、自動車に乗る回数が減っている。足腰を鍛えるために歩いたり、自転車で買い物に行くようにしているからだ。以前のように車を頻繁に使うようにしよう?そうこうして一月ぐらいして、また警告がエンジンをかけた時に出た!すぐ消えたので何かのミスかなと思ったが、また13万円も修理費をとられてはたまらないので、すぐにサービスに予約、もうバッテリーを交換しよう!無事交換したのはいいが検査料も含め51920円。まあ13年目だから仕方がないか?と思った。サービスマンに私はこう言った。
“もう何年かすると免許返納の時期が来るので。それまで乗りたいのでね。
よろしく頼みますよ”
免許証を返納するころにはアンティークカーになってしまうかも、それでも外観デザインは今のモデルより数段、洗練されている。漆黒のボディの美しさは見事である。工業デザイナーであった私はプロダクトデザインの優れモノは普遍的であると思っているがENICARのSherpa もBMW330Xiもそのようなものなのである。
最後に私自身?どうみてもそのような普遍的なデザインとはいいがたいが、今のところ私の体はそんなにお金はかかっていない。毎日、糖尿病の薬を飲むくらいなのだが、確かに
ヘッドコラムスイッチセンターの調子がイマイチの感がある。しかしこればかりは交換できないのでだましだまし使い続けなければならないようである。そのためには毎日、バッテリーの電圧を保つために走るようにしよう。
                                  泉 利治
2021年9月13日

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