ブランドワークス

Column

ライフスタイルシンボリズムの時代

 ここ数週間、本考が掲載されるブランドワーク研究所のホームページの改変に取り組んでいる。正直、時代の最先端を行っていた我がブランドコンサルティングのホームページである。しかし、コロナで仕事も来ないし、その上いわゆるブランディングという分野のコンサルティングもPLCで言うところの衰退期に入ってしまい、この分野の仕事は以前の十分の一くらいになってしまったので、HPは本エッセイの発表の場でしかないのが現状である。ただ、そうは言っても過去の残骸の状態はどうしたものかと考えた末、新所員の参画でHPを刷新しようと考えた。
 方法論は簡単であるCI(コーポレートアイデンティティ)からブランディングへの変貌したあの方法を採るのが自然の流れなのである。というのは新しい時代は突然生まれるのではなく連続して変化する中から生まれるからである。
 いわゆる、時代に乗り遅れたということは、企業にしても、思想にしても、ファッションにしても、その共通項は次の時代を予見し、それに自身を適応させることができなかった結果なのである。しかし、それは回避するのは正直かなり難易度が高い。
その証拠にここ数週間、その課題について考え、模索していたのだが、うまくいかない。ただ、この仕事は私が私に依頼した戦略立案なのである。そんなことから原点にかえて順を追って考えてみた。当たり前のことだが自身のアイデンティティや戦略仮説を考える前に自分たちを待ち受けている世界がどのような時代になっているのかを先に考えることが先決である。
そんなことを二週間考えた結果、出てきたのが、
        
 “ライフスタイルシンボリズムの時代“
 
 このような時代が間違いなく来ておりこれが加速するだろうと考えたのである。つまり、現在起きている世界の根底に流れるコンセプトである。意図しているところはこうだ。時代を動かすのは何かということである。これまでは国家であり、企業であり、画期的な新技術、などであった。ところが今の潮流はどうも一人ひとりの人間なのではないか?ともかく、高々7センチ×13センチのスマホがあれば世の中を動かせる時代なのである。そこに映し出される情報が力を持つのである。その情報はかつてのように一方的なものではなく、見る人、受け取る人の意思でどうにでもできるものである。双方向で相乗的なのである。それは指数関数的に拡大していき世界を飲み込むのだ。
したがって、その情報が心に入り込んだ場合、その内容が見る人の心を動かす確率はかなり高い。見た段階、読んだ段階で読んだ人はかなり無防備になるのでその情報にとらえられる確率が高いということである。なぜならば、自分のポケットに入るスマホからの情報だからである。意識として自分のスマホが自分を裏切るような事をするわけがないと思うからだ。たとえば資本論を読もうとした人は読む前からその本に対しての負のバイアスはかなり弱められていると思われる。多分、簡単に社会主義者になってしまうに違いない。ましてスマホで発信されているもの大半は見る人のライフスタイルに関することばかりである。その影響度はかなり高い。
 つまり、そこで伝えられているのは何かというとその人の考え、生き方、行動などに関することばかりである。一括りに言うとライフスタイルなのである。世界の人口が60億人いたとしたならば60億人のライフスタイルがあり、その中から新しい時代が生まれる時代になったのである。それを一言で言うと「ライフスタイルシンボリズムの時代」と言えるのではないか?
 このような時代仮説のもとにブランドワークス研究所は何を考え、何をしようとするのかを伝えることがBXIのホームページの役割なのではないか・・・・とやっと、たどり着いた。ともかく、一介のマーケティングに携わった人間として、そのようなスケールの大きな仮説を立ち上げるということを考えてもみなかった。これまでこのようないわゆる時代を象徴する概念は何とはなしに誰かがつくるものと思っていたからだ。多分、そうなのだろう。
 わたしがこのような道に入った頃に言われ始めたのが「情報化時代」という言葉である。
PAOSに入社した時に初めて聞いた言葉であったがその背景にはアップルやNECがつくったパーソナルコンピューターが出始めた頃である。ただ私はその意味が分かるにはまだ思考がついていけるまでの訓練ができていなかった。言葉や概念は位相化された世界のものであり、安全靴を履いて仕事をしていた人間には程遠い世界の概念であったのだ。
よく考えるとその前に言われていたキーワード「団塊の時代」で、これは堺屋太一氏が唱えた概念である。これは戦後に大量?に生まれた世代が時代を動かす変化、そして新たな潮流を象徴する言葉として懐かしい。考えてみれば「ライフスタイルシンボリズムの時代」とは上記の二つのコンセプトなくして生まれないような時代概念である。多分、今後この言葉が言われるようになるのではないか?

 ということで次はそのような時代背景の中で我がブランドワークス研究所は何をするべきなのかということである。いわゆる、この研究所の存在意義と大いにかかわってくるところであるが最初に思ったことは、やはり、時代の価値を提案したいものである。なぜならばそのようなことが習い性になっているからである。ヒントは一番価値のある事はPLCで言うところの導入期から成長前期の途上にあるような何かことを考えることだ。価値がある事とはそのようなことなのだ。その最初の仕事として新しい時代を命名したのだ。いわゆるブランディングしたのであるがこの言葉を人々が日常的に口にして、目にすることを期待したい。
                                   泉 利治
2020年11月23日

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