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Column

民 力

 コロナ感染は建国始まって以来の出来事かもしれない。正直ここまで来るとは思わなかった。それでも多くの人が人々のために仕事をしている。それこそ身を張ってである。
 今回の件で一番興味深いことはこれが収まった後で世界の国々の本当の姿が明確になることだ、たとえばどこの国の政治力はどこが一番優れていたか?どこの国民が一番立派だったか?どこの国のリーダーが一番優れていたか?・・・
 それでなくともランキングが好きな世界なのである。これで一番怖いのはその国の国民のあらゆる水準がランキングされ、暗黙のレッテルを貼ることである。これによってその国の存在などに一つの審判が下されると言って過言でない。
 私の世代は日本や日本人は優秀であるというイメージを何となく思っている。ところがそのへんが今回かなり揺らいでいる。一番そう思うのは医療従事者に対してのいわゆる欧米諸国の尊敬と感謝の行為である。日本人の子どもは感謝どころか医療従事者の子にたいして「バイキン」と呼んでいるというニュースを見て言いかねないなと思った。
 大変恥ずかしい思いである。したがって、国家のリーダーたる安倍総理が108兆円と声高に言う前に、医療従事者やスーパーで働く多くの人々に感謝の言葉こそ声高に言ってほしいものである。日本人は口下手なので!などという言い訳はもう通用しない時代に入ったと思うべきであろう。でないと劣等民族という最悪のレッテルを張られてしまう。
 様々な意見をSNSで見ると問題の人たちとしてやり玉にあがるのは70代のオジサン・おばさんである。どういうわけか私の世代なのである。この世代とは何なのか考えてしまうが、その前に厳密にスーパーで問題を起こしているオジサン・おばさんがほんとうに70歳代かどうかは分からない。そう見えるだけなのではないか?ただ、何となくスーパーで店員さんへのクレームを付けている人に対して年令が行っている人の代名詞なのであろうということで70才代というのは何となくわからないではない。明らかに高齢者らしくて何となく行動は歳を感じさせない?そんな人たち。
 この世代、というのは私の世代であるがもしかすると戦争を体験していない最も古い世代なのである。そして、日本がこれからどのように生きていったら良いかという模索期に青春を送った人たちである。いわゆるそれまでの道徳観念等が否定されたままやり過ごしてきたことは確かで政治的にはまだ、負けた戦争に対しての清算をできないまま、国家権力に対して立ち向かっていた70歳代の少し先輩(戦中派)の行動を白黒テレビで傍観者の如くに見ていた世代なのである。いわゆる安保闘争をである。
 私は今でもそうだがいたってタイセイ寄りだったのでその行動の真意はわからずじまいだったが直感的に判っていたのが日本に共産党は違うよな!ということだけであったので、その時の安保闘争でそれに反対していた若者の言うとおりになっていたとしたならば日本はどうなっていたのかを考えると何となくゾッとする。
 ただ、正直あの人たちのエネルギーは凄いと感じたが、あの時あのデモに参加した人たちがスーパーの店員に対してクレームを言っている姿を想像するのはむずかしい。一人の人間としては立派な人たちに違いないと思うからである。
 そこで70歳代のオジサン・おばさんである。この人たちはその光景をテレビで見てデモをやっている大学生のお兄さんたちという感想しか持たなかった人たちなのだろうし、その後の経済成長で何ら努力をしなくともそこそこの生活ができた人たちである。いわゆる知らずして高度成長期の波に乗り、比較的幸せな人生をこれまで過ごしてきた人たちである。何となく私の世代である。
 したがって、なんでテッシュがないのだ!ということで立場上平身低頭をしなければならないスーパーの店員さんを大声で怒鳴っているに違いない。なぜならば世の中は自分のわがままを許してくれてきたからである。しかし、残念なことにこの70才代のオジサンおばさんは多分このまま変わらずに過ごすであろう・・・としか思えない。しかし、戦争を体験した80歳代のオジサン・おばさんは多分違う気がしないではない?
 SNSでも見ることができたならばいくらか客観性や世界との相対性で物事を考えられるのかもしれないがそれもできないのが70才代なのではないか?と思ってしまう。それが我が同類なのだ!ともかく、この人たちはやり過ごすしかない。残念ながら。
 それにしてもこれが一段落した後のランキング結果が怖いことは確かである。ただひとつ思うのは日本がコロナ感染者や死者数が少ないのはやはり、日本政府が招集した対策チームが優れているような気がしないではない。いろいろな民放の特に左翼的な二大新聞系の専属コメンテーターが言っているほど政府の対応がまずいことなどはない。人口比率からいえば日本人は1万人亡くなってもおかしくないと思われるがまだ100人台でしょう。多分よその国はこれは虚偽の報告に違いないと思っているだろうくらい不思議な現象なのだ。BCGという新たな説も出ているが?
 その政府の対策チームのリーダーがテレビで説明をしているのを2回ばかり聞いたが、見事な科学的見地に基づいた考え方と方針、態度を見てオオッと思った次第でこの人たちこそが真っ当なのだと思ったものである。彼らがカップラーメンを食べながら仕事をしている姿を見ると、新しい時代の英雄像を感じてしまう。
 日本にこんなことが以前あったのだろうかを考えると思い浮かべるのは歴史上の国難である。たまたま思い浮かんだのは元寇と日露戦争である、太平洋戦争はこちらから仕掛けたので当てはまらない。元寇と日露戦争はコロナウィルス並みの力を持った強大国に攻められたからである。双方の戦争で多くの軍人が犠牲になった。一般人が犠牲になったのは元寇の初戦で対馬の人々が守護代宗助国八十騎が全滅した後に村民のほとんどが殺されたことである。この場合軍人とは医療従事者の様な気がしないではない。鎌倉時代この国を守ったのはいわゆる現場、九州の御家人たちであったがその比喩が現在でも同じである。しかし、コロナではそれ以上に一般の人たちも亡くなっている。太平洋戦争のように。
                                 泉利治
2020年5月4日

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