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Column

世のため人のため

 中村哲医師が彼のライフワークであるアフガニスタンでの仕事の最中に何者かに殺された。私は漠然とそのニュースを聞き、彼の成していることがあまりにも偉大なのでこのような人こそノーベル平和賞を上げるべきなのだろうなと思った。そんなノーベル賞が出たのは、現在ノーベルウィークであるからであることと、COP25でグレタさんが話題になっているからである。彼女がノーベル平和賞候補?というニュースが出た時、このノーベル平和賞ほどあてにならない賞はないとの印象を持っていたのでこれは受賞するかも?と思ったが今回はさすがになかった。何年か前にやはりマララさんが受賞した時と同じインパクトがあるからである。
 ノーベル平和賞の授賞理由とは一番はっきりせず、その理由の所在が分かりにくい。理由というより成果なのだろうがグレタさんの場合、彼女の存在と言動でトランプ大統領がCOP25の枠組みに加わるというような事態になったとしたならば受賞することになるのではないか。そう考えるとやはり現段階では不可能だ。
トランプ大統領を動かした人は間違いなくノーベル平和賞とノーベル経済学賞を同時に受賞するに違いない。というのはCOP25がアメリカ経済に多大な貢献をするという経済的納得を全世界に証明しなければならないからである。
中村医師もノーベル平和賞候補に挙がったらしい。ただ受賞しなかった。私は単なる日本人としての同朋意識からグレタさんが受賞する前に彼が受賞するべきであろうと思った。そうは言ってもその成果は目に見えないものである。そんな時、テレビで彼が灌漑によって土地を豊かにし、人々に豊かな水を与えることは医療と同じなのですと言った後に、以前、砂漠だった広大な土地が青々と緑が茂った土地に変わった、同じ位置から撮影された写真を見た時に感嘆の声を上げてしまった。こんな風になるのだ!と思ったのである。成果が目に見えたのである。彼が灌漑という全く場違いの貢献をするようになった背景には医師としての多くの患者を治療してきて、その病気の原因が水不足な風土にある事を知って、自分で出来ることから始めたのだ。私がその時、浮かんだ言葉は“一隅を照らす”とはこういうことを言うんだろうと思ったことであった。それに比べるとグレタさんのニュースは広大な世界に一瞬フラッシュをたいたようなものである。
私はそのような行為の対極にあるような人間なので本来このようなことはテーマアップすることすらないのだが、中村医師が私の同じ年の73歳であることを知り俄然、彼の成そうとしたことに興味を持ったのである。・・・ということはトランプ大統領とも同じ歳なのである。両極だな?世界に悪?をもたらしている人間と善をもたらしている人間が1946年生まれの九紫火星であるということが、ただ、私はこの両人の共通点が分かる気がする。それは自分が確信したことに自信を持ち全うするということである。
この歳の人の共通点は世の中の流れに対して、その流れというだけで反対するような天邪鬼性があることがある。中村医師の場合アフガニスタンという100年以上も前から紛争が絶えない危険の地域だからあえて選んで行ったという天邪鬼性である。またトランプ大統領も同じでみんなは温暖化が原因だというから、そんなことはないだろう証拠はあるのか?ということになってしまう。ともかく、基本的に付和雷同ということが嫌いで、人と違うことをやりたがる天邪鬼性なのである。ただ、名誉心やプライドが高い性格のためそこをくすぐることが動かすきっかけになるのではないかと思う。しかし、その本質は自分が一番大事で一見、世のため人のためなどに関してプライオリティは決して高くない。
自分が一番大事ということなのだがその表れは自分が考えたことに対しての絶対的な確信である。したがって、たとえば今トランプ大統領が物議を醸しだしている、駐留米軍費用の負担問題、その金額はアメリカ(3.39%)が不当に多いのでそれぞれに国のGDPに見合った額にしようではないかという提案である。貿易赤字のアメリカは決して豊かな国ではないのにたとえばドイツ(1.23%)の3倍も負担している、日本(0.93)も勿論でドイツより低いではないかということなのだ。この割合は戦後アメリカが覇権国足らんとして、それを承知で決めたアメリカの戦略的な負担比率である。ところが自国が大事なトランプ大統領はもう覇権国は止めたいと言っているのであろう?とくにトランプ大統領は世のため人のためなどを考える性格ではないからであろう。赤字国アメリカを救ってほしいと懇願しているのである。たしかにそれも一理ないことはない。
反論として、そのGNP相応の駐留費負担はそれはそれで納得できる。しかし、私たちの税金は収入によって税率は違うではないか?収入が大きく利益を出しているところが税金も多いはずだ・・・しかし、トランプ大統領はそこまで考えない。ウチは赤字である。だからということなのだが赤字なのは国内で無駄遣いしているからでしょう?と言っても始らない。黒字国ドイツは利益を上げて、コストを縮小しているから黒字国なのだが?
でもこのGNP負担額論争いいところで納まるのではないか?トランプ大統領はどこかで手を打つであろう。そんな論争よりも彼を支持している人たちの財布を暖かくする方法を真剣に考えるべきだ。でないと来年の大統領選挙も危ないだろう。彼はこれまでの大統領、とくに嫌いなオバマ元大統領と同じ8年を大統領として君臨したいだけなのである。要するに負けたくないだけだ。就任期間が4年というのは彼の自尊心が許さないだろう。
それが今の彼の基本コンセプトである。
したがって、彼のウィークはオバマ氏に負けないことなのだ、そこにフォーカスをあてたアイディアが出ればころりと変わるだろう。北朝鮮の問題もそうだ、これまでの大統領のだれもが解決できなかった問題を解決したという名誉心、功名心だけがほしいだけなのである。したがって、彼にとってはオバマ大統領より偉大な大統領であったと言わせる落としどころであらゆる施策を考えられる側近が、もしくは戦略家が必要なのである。本来、最も世のため人のためのトランプ像を望んでいる人なのであるからだ。
                                   泉利治
2019年12月23日

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