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Column

詩編113篇

 人生でいわゆる聖書学者などと滅多にすれ違うことなどないであろう。そもそも、聖書学者などダビンチコードを読むまで知らなかった?というのが正直なところである。そんな積年の思いで願っていたことを思い出して3年間の締めくくりにすることになった。
 
今回気づいたのだがわが家の壁に飾ってある大作のいくつかは20年近く前にヨーロッパに出かけていた頃に買いそろえたものがほとんどである。その中の主要なものは例のサザビーズを介して手に入れたものでその中のいくつかはネットで見ることができる。
 当時、私は恒例のロンドン詣を年に2回くらい正味20日間くらい費やしていた。
と言っても何のことはないロンドンで生活しているように過ごすだけで取り立てて旅行者のような行動はとらなかった。市内の美術館に行ったり、アンティークショップに寄ったり、その日の夕食の買い物をしたり、お気に入りの店(たとえばGUN&RIFLE SHOP PURDEY・・メイフェア地区にこのほかASPREYやHOLLAND&HOLLANDなどのガンショップがある。)をのぞいたりするだけである。その中でも特別にお気に入りなのがサザビーズである。きっかけは何といってもジェフリー・アーチャーである。アーチャーは彼の小説には必ずと言っていいほどサザビーズを登場させる。そんなことからそこに入るとたしかにアーチャーの書いた世界に紛れ込む錯覚に陥るという贅沢を味わうことができる。サザビーズの迷路のような店内に入ると、オークションハウスという概念を知らないと美術館と言って通用する。プレヴューで展示している様はまさに美術館である。
 その中で気に止まるものがあるもので、その日は午後の飛行機で発たなければならない、最後に飛び込んだのがその時もサザビーズであった。いくつかの展示ルームを見て回ったがざっと見られるような作品ばかりであった。その絵は入口の上に掛けてあったので部屋を出る時に目に飛び込んできた。最後の最後にいい絵と巡り合ったがこの絵のセリ当日は残念ながら日本である。仕方なくホテルに戻り荷物をまとめてヒースローに向かう、タクシーの中からみるロンドンの街並みが来た時となんとなく違うことが、いつもながら思うがその時もそうであった。しかし、不思議なことに帰りの飛行機に乗ってしまうといつも日本モードに切り替わる。

日本に戻ると出張中に溜まった仕事に追われて旅の余韻に浸る間もなく週末を迎えるという、いつものパターンで追いかけられるようにその週を過ごした。週末になってやっと先週の今頃はということを思い出すのであった。そういえばサザビーズで見たあの絵はどうなっているだろうかとやっと考える余裕が出た。
 来週は部内のプランナーの面接が入っているな?などと考えながら新しい週を迎えた。当時のインターブランド社はビジネス界から注目をされ始めた新進のブランドコンサルティング会社であり、それもグローバル時代のコンサルタントカンパニーというイメージなのでいわゆる著名大学出身者、MBA保有者、名の知れた企業在籍者からの面接希望者のリストと履歴書が面接日程と共に総務から届いていた。面接の多くは夜の8時くらいから行われる。事前に履歴書をザっと目を通して、質問のポイントをメモして第一次面接に臨むことになる。
 今回の面接で一番気になったのはサザビーズ日本支社で働いていた女性の応募者がいた
ことであった。勿論、書類審査で落とすようなキャリアではなかった。その前の職場も世界的な訪問販売ブランドの会社であった。面接では一通りの面接が終わり、サザビーズの話になった。私は偶然だがロンドンのサザビーズで気にいった絵を探したのだが、その絵がどうなっているか知りたいのだがという話をすると、彼女いわくサザビーズ日本支社で調べてくれるとのこと、購入の便宜も図ってくれるとのことであった。
 翌日、早速サザビーズ日本支社に電話をすると彼女が教えてくれた通りですぐに確認して、次の日に連絡してくれた。勿論、その購入に関する代行もすべてやってくれて、私は一カ月ぶりにお気に入りの名画に再会することになった。

画家の名はAlexander Johnston(1815~1891)、画題は「FAMILY DISCUSSION」。ただ、ALEXはこの構図で私の知っている限り、同様の絵を3枚描いていることが分かった。一つはスコットランド国立美術館所蔵のもの、もう一つはわが家のタブローの半分のサイズのものが、2008年10月23日クリスティーズによってエディンバラで売られている。最後は私が購入したモノ。重要なことはそちらの絵のタイトルが「THE SABBATH EVE」 ということだ。テーマは安息日の祈り。
私の絵は1999年8月20日にサザビーズのプレビューを見て日本サザビーズで9月6日に申し込み、2日後に確か総額で1500ポンドくらいで購入している。私の絵は同様の構図でこれの2倍の大きさがあり、幅は1000を超える。
 私が興味深かったのはこの家族はプロテスタントかカソリックか?ということである。わが聖書学者はプロテスタントなのではなかと、というのは安息日に朝と夕に祈祷会をやるからである?もう少し突っ込んで、プロテスタントの宗派は?メソジスト?プレスビテリアン?ということなのだが・・・このあたりの確証は不明である。画家自身の宗教的信念と係るところなのでALEX JOHNSTONについて調べることが確かな近道かと思われる?この絵に関してはおおよそ知りたいことは見当がつくが・・・その次にやはりサザビーズで購入した絵が何ともわからない絵なのである・・・・次回へ続く
                                    泉利治
2019年11月4日

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