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Column

 頭脳力持続戦

 自分が歳を重ねていくのは分かっていたが、それによって目に見えるように頭脳が退化していくものだとは思ってもみなかった。
 齢を重ねるということにつれて心がけ次第で英知が高まっていくのではないかということなのだが、その仮説の根拠はバートランド・ラッセルが98歳まで生きて、その明晰な知力を発展させていたからである。当時、かれは人類最高の頭脳といわれていた。この数学者にして、哲学者の彼はアインシュタインが相対性理論を発表した時、人類の中で彼以外に相対性理論を理解しているのはバートランド・ラッセルだけだと言われていた。かれはそれを彼の得意とする数学を使って説明したと言われていた。
 この空前絶後の哲学者は一方で恋愛論や女性論を書いていた。私は彼の書いたそんなものを読みたいと思わなかったがどんなことが書いてあるのかについて知りたいと思い書店で拾い読みをしたがこんな記述があった。
 “私は妻とサイクリングに行って、彼女の後について行った。そうして彼女の後姿を見ていた時、突然、彼女を愛していないことが分かった”
 その後かれらは離婚したのであったが、まさに論理的に正直な結婚生活であった。その後、ラッセルは別の女性と結婚するのだが結婚生活まで論理的帰結の結果であったというライススタイルの在り方に見事というよりも異質の思考回路にあきれてしまった。
 ただ、よく考えるとこの数学的コンセプトによって構築された生活に取り立てて凄いものを感じたわけではなかつた。つまり一種のライフスタイルであるとしか思い浮かばなかった。考えてみればラッセルは不器用な人で融通が利かない人間だったのではなかったか?つまり融通の効かない、どうでもよいことにこだわる。面倒な非社交的な男なのではないかと思わざるを得なかつた。
 この手の屁理屈を言う人、特有の後付けの論理で彼は一山築いたのではないかと思えない気がしないではない。多くの人は、そんなラッセルの肩書に惑わされて、勝手に理路整然たる論理を喧伝したのであった。

 ただ、羨ましいのはあらゆる決断が明確な論理の下で成されて、そのもとに意思決定をしているということであった。そして、それが彼にとって揺るぎないものであるということなおであろう。そして、そのベースにあるものを彼は全てわかっていて、そのもとであらゆる論理が成り立っているということだろう。ラッセルのそのベースにあるものがプロテスタンティズムではなく、独自な彼の頭の中で構築された信条のようなものでそれに基づいていると思われるが?
 そのあたりも理路整然と彼の頭の中で組み立てられているので、彼は説明を求められたらキチンと説明ができるであろう。それは多分、彼の著書「結婚論」などを読めばわかる気がしないではない・・・・そういえば、もう数十年もラッセルの本を読んでいないので久しぶり紐解いてみるが?確かラッセルの哲学史が著作集の中にあった気がする!
                               260713 泉利治

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